前回の記事では、大学で技術補佐員として働くメリットについて書いてみました。
今回はデメリットについて書きたいと思います。
応募を検討する際は、メリットよりもデメリットを重視するべきだと考えています。期待していたほどの職場ではなく、不満ばかりが募るというありがちな失敗を避けるためです。
本記事がそのためのヒントとなれば幸いです。
目次
技術補佐員として働くデメリット
私が考えるデメリットは、以下の5つです。
- 給与が安い。手当が限られている。昇給がない。
- インセンティブがなく、モチベーションの維持が難しい。
- 将来への不安が募り精神的に不安定になる。
- 研究室によっては、技術が身につかないこともある。
- 転職の際経験を評価されない場合もある。
それではひとつずつ検討していきましょう。
1.給与が安い。手当が限られている。昇給がない。
1日6時間勤務、時給1,320円というのがよくある条件だと思います。
この条件で月21日すなわち126時間働いた場合、通勤手当を除いた手取り月収は約13万円になります。
これがもし1日8時間だとしたら18万円弱になりますので、およそ大卒初任給程度と考えて良いと思います。
これだけ見ればそれほど悪くない待遇とも思えるのですが、以下の2点に注意する必要があります。
- 手当は通勤手当と超過勤務手当のみ。
- 昇給がなく、給与は据え置き。
正規職員なら付くであろう住宅手当が、技術補佐員には支給されません。付くのは通勤手当と超過勤務手当のみです。
家賃支払いがある場合、全額自己負担となりますので、給与は額面よりも少ないと覚悟しておいてください。
また、昇給がなく給与は契約期間中据え置きです。
金銭感覚は人それぞれですが、一生の仕事にするにはなかなか厳しい条件ではないかと思います。
2.インセンティブがなく、モチベーションの維持が難しい
一緒に実験した大学院生が学位取得しようとも、日々コツコツと集めたデータが裏付けとなって、研究室と企業が共同開発した医療用デバイスが薬事承認されようとも、インセンティブは一切ありません。
得られるのは教授からの感謝の言葉とささやかな満足感、そして共著論文のみです。
それらだけを糧に研究に尽くすのは尊いことですが、その先によほど大きな野心がない限り、モチベーションを維持するのは難しいのではないかと思います。
3.将来への不安が募り精神的に不安定になる
研究職というのはお笑い芸人と似たような職業だと思っています。
養成所(大学院)には比較的簡単に入れますが、スターになれるのはほんの一握りです。
アルバイトを続けながら明日のスターを夢見る芸人と、研究室のサポート業務をこなしながら常勤職を目指す技術補佐員の境遇はよく似ているのではないでしょうか。
日々必死になって実験していますが、ふと我に返ったときは本当に辛い思いをしました。
ただし、何らかの事情ではじめから割り切って応募する場合はその限りではありません。
4.研究室によっては、技術が身につかないこともある
技術補佐員の業務内容は研究室によって大きく異なります。
教授の研究をサポートしポスドク並に単独で実験を進めていく場合もあれば、機器操作の一部や洗浄・清掃作業がメインとなることもあります。
私が大学院生の時にお世話になった技術補佐員の方は前者のタイプで、私が”銅”で行っていた実験を”鉄”で進めていらっしゃいました。
そういう方もいれば、逆に実験の準備と後片付けだけが仕事で、データ取得に係わる核心部分にはタッチさせてもらえないというケースもあり得ます。
その辺りの事情は事前によく調べておく必要があります。くれぐれも、採用されてから後悔することのないようにしてください。
5.転職の際経験を評価されない場合もある。
技術補佐員の業務は「技術に関する職務を補佐する」ことです。この”補佐する”が曲者で、主体的に業務に係わったとは評価されず「単なる手伝いのアルバイト」と見做されてしまうこともあります。
そうならないためにも、日々積極的に業務に参加し技術を磨くことが肝心です。技術の裏付けとなるような資格を取得するのも良いと思います。
動物実験をされている方には、実験動物2級技術者をお勧めします。ある程度知名度があり、資格要件として設定している大学もあります。
その他、第一種衛生管理者を取得しておくと転職先の候補を増やすことができます。大卒の場合「1年以上の労働衛生の実務」が受験資格となっていますが、実験室の清掃や衛生管理を行っていれば実務経験と認められるのではないかと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
技術補佐員はやりがいがあり、ステップアップのチャンスを掴める可能性を秘めている反面、給与が安く続けていくモチベーションを維持するのが難しい仕事であることをご理解いただけたでしょうか。
応募を検討される際は、メリットとデメリットを十分に比較検討してください。
相談等がありましたら、コメント欄にて受付けますので遠慮なくお寄せください。
それでは今回はこの辺で失礼します。
最後までお読みいただきありがとうございました。